前回の続きです。

人生全体をとおしてみたとき、どのような人生が「幸せだった」と感じることができるでしょうか?

ダニエル・カーネマンによれば、人は「エンディングがすべてを決める」という傾向にあることが研究の結果として判明しているそうです。

簡単にいえば、エンディングにいたるまでの「経験」はほとんど無視され、終わりさえよければそれで良し、というように人間の記憶が評価するようにできている、ということです。

驚くべきことに、終わりさえよければ、たとえ苦痛を経験する時間が長くなったとしてもそちらを選んでしまう、ということが実験の結果として判明しています。

ーーそして、私たちの予想は的中した。長い方では苦痛が薄らいだと報告した被験者の八〇%がこちらを選んだ。つまり、三〇秒間余計に無用の苦痛を味わうことを自ら引き受けた。

ファスト&スロー (下): あなたの意思はどのように決まるか? ダニエル・カーネマン(早川書房 2012)

心理学者のエド・ディーナーによる実験では、「ジェン」という架空の人物の人生が、(たとえ幸せの総量が変わらないとしても)幸せな最期を迎えたかどうかでその評価が大きくかわる、ということが報告されています。

このように、直感的には、私たちの人生は「終わりよければそれで良し」ということができるでしょう。

しかし、私たちの「経験」という観点から見直してみれば、エンディングが悪かったとしても、それまでに経験した幸せがなくなるわけではありません。

つまり、終わりが悪くてもそれですべてがダメになるわけではないし、いままで経験したことがなくなるわけではないのです。

これが理解できれば、私たちの私たち人生はより多面的に、豊かになっていくだろうと思います。

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