前回の記事では、「幸福か否かの二者択一的な考えかたは危険である」ということをお話ししました。

ではどうしたら良いのか?

実はすでにいくつかの指標があるのですが、そのいずれもに共通していることは「人生の幸福度や満足度に関するいくつかの要素について、それらをバランスよく高めていくこと」にあります。

たとえば慶應大学の前野教授はこちらの記事で幸せになれるメカニズムについて、次のように述べています。

前野 幸せの鍵を握る因子は最終的に4つあることが分かりました。また、それぞれを分かりやすい一言で表現してみました。

1「自己実現と成長」(やってみよう!因子)
2「つながりと感謝」(ありがとう!因子)
3「前向きと楽観」(なんとかなる!因子)
4「独立とマイペース」(あなたらしく!因子)

人が幸せになるためにはこの4つを満たすことが大事だというわけです。

さらに「ストレングス・ファインダー」で有名なトム・ラスはその著書「幸福の習慣」で下記のように述べています。

第1の要素「仕事の幸福」
第2の要素「人間関係の幸福」
第3の要素「経済的な幸福」
第4の要素「身体的な幸福」
第5の要素「地域社会の幸福」

幸福の習慣 トム・ラス / ジム・ハーター(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2011)

幸福からウェルビーイングへ

しかし私が紹介したいのは、前回の記事でも紹介したマーティン・セリグマン教授の「PERMA理論(ウェルビーイング理論)」です。

P:ポジティブ感情
E:エンゲージメント(没我感)
R:リレーションシップ
M:意味・意義
A:達成感

ポジティブ心理学の挑戦 “幸福”から“持続的幸福”へ マーティン・セリグマン(ディスカヴァー・トゥエンティワン 2014)

PERMA理論の画期的な点は、私たちが何気なく使っている「幸福感」の価値をあえて下げている、ということだといえるでしょう。

例えば「E」にあたるエンゲージメント、これはいわゆる「フロー状態(没我感・何かに夢中になっている状態)」のことを指しています。

これは簡単に言えば、何か夢中になれるものがあるというのは、人生における「充実感」に関連しており、そして実際に没我するほど(我を忘れるほど)何かに夢中になっているその瞬間というのは、実は「幸福感」を感じていません。

例えとして、恋人とのひとときでもかまいません。

テレビゲームでも、映画でも何でも良いのですが、夢中になっている瞬間というのは幸せに浸ることすら忘れていませんか?

ですから、厳密な意味で幸福感を追い求めようとすると、このような「エンゲージメント(= 何かに夢中になることのできる充実感)」が減少したり、またはそれ自体に気づけなくなってしまう可能性があるのです。

このような意味で、PERMA理論では、従来、私たちが使っている「幸福感」というものを「P」のポジティブ感情の中に含めて考えます。

そして、「P」「E」「R」「M」「A」という要素から構成される概念を「ウェルビーイング」と呼び、そして「P」「E」「R」「M」「A」をそれぞれの人生においてバランスよく高めていくことにより、(前回の記事でもご紹介した)「持続的幸福度」を増大していくことを目的としています。

(さらにつづく)

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